後悔しない弁護士選びのために─依頼前に知っておきたい5つのポイント

弁護士を頼みたい。
でもどの弁護士に頼めば良いのか、わからない。
法律相談をしてみたけど、この弁護士に頼んでいいのか、わからない。
どうやって自分に合う弁護士を見つけたらいいのか、わからない。
そんなお悩みを持つあなたに。
依頼者と弁護士との関係は、長期間に及ぶ継続的なものです。
あなたが弁護士に事件を依頼したら、あなたと弁護士は何度も話し合い、協力し、最後まで信頼関係を維持しながら、事件解決という最終目標にたどり着かなければなりません。
もしその途中であなたが弁護士に不満を抱いたとしても、その弁護士との委任契約を解約して、新たな弁護士に依頼することは、実際には簡単ではありません。
弁護士に対して辞めてくれと言うのも勇気の要ることでしょう(実際に、今の弁護士を解任するので引き受けて欲しいと来られた相談者さんから、やっぱり言えないので先生には頼めません、と言われたことがありました。)。
また、弁護士が一旦事件に着手してしまうと、あなたが途中で委任契約を解消しても、着手金の全額を返して貰うのは難しい場合が多いと思います。
さらに、他の弁護士がやっていた事件を、途中から引き受けてくれる弁護士を見つけるのも大変です。
逆に、弁護士の側から、うまくコミュニケーションが取れない、依頼者の要求に応じることが難しい等の理由で、途中で委任契約を解約することもあります。
いずれの場合も、依頼者と弁護士双方にとって、とても残念な結果となってしまいます。
そこで、以下、わたしの弁護士としての仕事のやり方、モットーをいくつかご説明しますので、わたしがあなたのお役に立つか、あなたの依頼の趣旨に適うか、検討の材料にしていただければと思います。
① 田中里美法律事務所では、依頼者との打ち合わせは面談で行います

電話やメール、最近はWebで打ち合わせを行う弁護士も居ますが、私は事件に関する打ち合わせは、面談でお願いしています。
つまり、私の事務所に来ていただく必要があるということです。
調停(申立人・相手方)あるいは裁判(原告・被告)の場合、当事者はそれぞれ自分の主張を記載した書面(準備書面あるいは主張書面といいます。)や、自分の主張を裏付ける証拠を、裁判所が定めた期限内に、相手方及び裁判所に提出します。そのため、
- ○どういう主張をするのか。どういう主張が可能なのか。
- ○その主張を裏付けるためには、どんな資料が必要なのか。
- ○どんな資料が依頼者の手元にあるのか。
- ○相手方の主張にどのように反論するのか。
- ○相手方の提出した証拠に対抗できる資料はあるか。
などということを、依頼者と打ち合わせる必要があるのです。
もちろん、上記の事柄を検討するには、法律や裁判所の考え方などを依頼者にご説明し、理解していただくことが前提になります。
依頼者が私の説明を理解されたか、それともおわかりいただけていないのか、納得されたのか、ご不満なのか、逆に、私が依頼者のお話をしっかり理解できているか、誤解している部分はないか等々、わたしはやはり直接お会いした上でお話をし、表情や身振り手振りも含めて互いによく相手を見て、理解する必要があると考えています。
打ち合わせは、30分程度で済むこともあれば、2時間近くに及ぶこともあります。
ただ、このような打ち合わせを行うのは、調停あるいは裁判の期日間ですので、大体1ヶ月に1回程度とお考えいただいてよいと思います。
そこで、1ヶ月に1回程度、平日の大体10時から16時までの間に、打ち合わせのために当事務所に来ることが難しい方には、私は代理人として向かないと思います。
なお、簡単なことや急を要する事柄については、当事務所もメールや電話を利用しています。
② 相手方や裁判所に提出する書類については、依頼者の了解を事前に貰います

調停や裁判においては、書面や証拠を提出します。
このほかにも、相手方の代理人弁護士と、調停外や裁判外で書面で連絡を取り合うこともあります。
このような場合、急を要するときは別ですが、私が作成した書面や証拠は、必ず事前に依頼者に見ていただいています。
私が依頼者から伺った内容を正しく認識しているか、依頼者の希望に添った内容となっているか、預かった裏付け資料を証拠として提出するがそれでよいかなど、依頼者に確認していただくためです。
依頼者からこれでよいとのご連絡をいただいてから、裁判所や相手方に提出しています。
相手方から提出された書面や証拠も、できる限り速やかに依頼者に送っています。
依頼者にきちんと見て貰い、それに対する反論、意見などを打ち合わせでお伺いした上でないと、わたしが依頼者のために書面や証拠を作成することができないからです。
私は裁判所が定めた提出期限は可能な限り守る主義です。
そこで、私が検討してくださいと言ってお送りした書面等についてきちんと回答を下さらない方とは、信頼関係の形成が難しいと思います。
弁護士はあくまで依頼者の代理人に過ぎません。
依頼者ご本人にしか事実はわかりませんし、事件は依頼者ご自身の問題です。
依頼者の協力が無ければ、わたしは弁護士として自らが満足のいく仕事ができませんし、自分の仕事に責任をもつことができません。
③ 依頼者の要望や要求の実現が困難あるいは不可能な場合は、はっきり申し上げます

弁護士は依頼者のために最善を尽くします。
しかし、「最善を尽くす」とは、依頼者の要望等を何でもかなえることではありませんし、そもそもそんなことはできません。
弁護士にもできることと、できないことがあります。
法的に実現困難なことや、弁護士の仕事の範疇に属さない事柄等については、なぜできないのかというご説明をして、ご了解を得るようにしています。
そこで、私の説明に納得できない方には、他の弁護士を探していただくしかありません。
④ 調停では、依頼者と一緒に家庭裁判所に出向きます

コロナ禍の期間を経て、最近は自分の事務所で依頼者と一緒に電話あるいはWebで調停に参加する弁護士も居ます。
ただ、わたしは、調停が福岡家庭裁判所で開かれる場合は、依頼者と一緒に裁判所に行って、調停委員と直接面談するようにしています。
やはり調停委員と直接会って、その表情や口調、態度を観察し、こちらの言うことを調停委員はどのように受け取っているのか、あるいは、相手方の主張をどのように感じているのかなどを、的確に把握したいと考えるからです。
電話やパソコン画面を通してではなく、実際に会って話す方がやはり意思疎通は円滑にいくというのが、長年の経験からの実感です。
また、依頼者と一緒に裁判所に居ることで、待ち時間に依頼者と打ち合わせを行うことができますので、調停委員に対して依頼者の気持ちを伝えたり、相手方の主張や提案に対してすぐに回答することもできます。
そこで、自分はわざわざ家庭裁判所に行きたくない、あるいは、忙しくて無理だという方には、わたしは代理人に向かないと思います。
⑤ 最後に

最終的な解決内容が、依頼者が最初に望まれたものと必ずしも一致するとは限りません。
一致させますとお約束することも、わたしにはできません。
なぜなら、調停や裁判という法的手続においては、証拠(裏付け資料)の有無が最も重要となるからです。
それをそもそも依頼者がお持ちでなければ、不利なことは否めません。
ただ、わたしが、数多居る弁護士の中からわたしを選んで事件を依頼してくださった方にお約束できることは、あなたのお気持ちをできる限り理解するよう努め、あなたの納得がいくまで説明を尽くし、あなたにとって最善の解決が得られるよう、わたしの知識と経験を余すところなく注ぎ込んで最大の努力を致します、ということだけです。
あなたが最後までわたしを信頼してくださるのであれば、わたしも最後まであなたと手を携えて最善を尽くします、ということだけです。
この文章が、あなたが問題解決の良きパートナーとなる弁護士を見つけるヒントになれば幸いです。